焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
そうだ。あの時。
三年目の節目でそれまでの関係に一歩踏み込もうと決めたのは、私だけじゃない。
勇希も私と同じように感じてくれていた。
漠然としたまま形に出来ない目標を、二人で固めていく為に。
だからこそ、今こうして七年目を迎えようとしてる。


なのに私たちは、いつから目標がわからなくなっていたんだろう。
佳代の言う通り、私たちは、目指すものを見失ってしまっていた。


鼻の奥の方がツンとする。
親友の強気な言葉が、今私の背中を思いっきり力強く押してくれた。


「……話さないと」


一度大きく鼻を啜ってから、私は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。


「お互いに迷路に迷ったまま、出口を見つけられないまま、終わらせていいわけない」


心を奮い立たせて言った言葉が、更に私の心を奮わせる。


「ありがとう、佳代。……私、まだ終われない」


辿り着いた答えに満足して、私は強い声で言い切った。
それを聞いて、佳代はいつもと変わらず、柔らかくふわっと微笑んだ。


「うん。ガンバレ」


そう言って、拳を握りながら大きく頷いてくれる。
佳代の励ましの言葉に勇気づけられて、私は強く頷き返した。
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