先生、恋ってなんですか?
「お前あのまま針のムシロに立たされたかったの?」
「や、そんなわけないじゃん」
「久々に会った教え子と話したいと思うのは自然の流れじゃないか?お前、誰とも連絡とってないんだろ?」
「まぁ……」
先生の考え方は分からなくもない、気はする。
でもなにも深夜のファミレスに呼び出さなくても良くないか?
先生は先生でしこたま呑んでたし、私は私で仕事終わりでヘロヘロしてるところだ。
“過去”を葬り去りたい私が、何が悲しくて元担任と顔を突き合わせることに……。
「浅野が愚痴ってたぞ。友達だと思ってたのにーって。連絡してやれば?」
「え、やだ。あれは友達とは言わないよ、先生」
「お前、友達がいの無いヤツだな」
呆れて溜め息を吐かれても、あんな上部だけ取り繕ったような子は友達でもなんでもないのだから仕方がない。
「先生の前じゃそーやって言うんだよ。同級生みたいなのと違う若いの男ってのが先生しかいなかったから、良い子ぶってポイント上げたかったんじゃない?」
「そんなもんか?」
先生の返答に、今度は私が溜め息を吐く番だ。
深夜のファミレスは人気がなくていけない。
静かな声も、溜め息も、遮るものがないからはっきりと聞き取れる。