先生、恋ってなんですか?
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
ひんやり寒いワンルームの部屋に、唐突にけたたましく鳴り響いた電話の音で、私の長閑で贅沢な朝は遮られた。
贅沢は敵だとばかりにヒーターの無い部屋では、今いるベッドが一番のホットスポット。
寒い日の朝はこれを手放したくはない。
休みとあってはなおさらだ。
仕方なしにベッドに潜ったまま手探りで電話台をあさって、相手の誰かも確認せずに受話器を持ち上げた。
なんとか一緒に体を持ち上げてみても、視界は広がらない。
ああ、瞼が重い。
「ぁい、もしもし……」
眠い目を擦りながらも絞り出した声。
仕事の電話かも、なんて寝ていた体を起こしてまで電話をとったことを次の瞬間に後悔した。
「……はぁはぁ、おねーさん、パンツ何色?はぁはぁ……」
「……」
「おねーさん、」
「2度と電話かけてくるじゃない、この変態め!」
ガチャリ、と勢いよく受話器をおいて、寝起きでボサボサの髪の毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
休みの日の朝からなんて目に遭うんだ。
せっかく久々のお休み、惰眠を貪っていたというのに。
時計を見ると9:20を少し回ったところだ。
数秒考えた後、再びそのままベッドに倒れこんだ。