先生、恋ってなんですか?
そして深夜1時40分、ふたり並んで歩いている状況が生まれるのである。
「先生は過保護だよ。私のこれは仕事のうちなんだから」
こうも日々送ってもらっていたらため息もつきたくなるもんだ。
先生は来てくれると必ず1500円くらい使ってくれる。
宴会みたいに大きくお金が動くわけでもないし、もちろん、常連さんもそれくらい……いや、それ以上に使ってくれる人もいるけれど。
来ている頻度を考えると、やっぱり気が引ける。
「好きでやってんだから気にすんな。それに自分の飯の確保のためでもあるんだから」
それを言われてしまうと私も強くは言い返せなくて、結果として、いつも押しきられて送ってくれることになるのだ。
最初の頃は事のいきさつを知っていたスタッフに、常連さんにからかわれるしで、あーだこーだ文句を言ってみたりしていた。
それについてはいつも通りどこ吹く風だった。
シフトも言わずにいた時もあるけれど、そういうときは結局私がいなくなるまでいるし、終わり時間が見えずに長居すればお金を使わせちゃうし。
果ては、待ち伏せするぞ、と脅されてしまえば素直に教えるようにもなる。
だから最近はもう、色々言うのは諦めた。
おかげで、皆もう慣れたもののように扱ってくれる。
「確信犯だよねぇ」
「どうとでも」
とぼけたように言うこの人はやっぱり確信犯だと思う。