先生、恋ってなんですか?
「先生、てさ。いつも何時に寝るの?」
「あ?んー、まぁ帰ってから風呂入って寝るだけだから3時前には寝てるな」
「あ、私とそんな変わらないんだ。じゃあさ。先生、提案!」
ピシッと人差し指をたてて、にこっと笑う。
「私、連絡するので。早番の時は晩ご飯、遅番の時はお昼ご飯。家で食べませんか」
私の提案に、眉を寄せている。
分かりやすく怪訝な顔だ。
「いつも送ってもらうの、私の中で気が引けるんですよ。大体、遅番の時は経済的でもないし……」
普段、私は遅番なら深夜1時30分、早番なら深夜0時に店を出られるくらいだ。
お店の閉店時間は居酒屋にしては早めの深夜1時。
遅番は、そこから閉めや仕込み作業をするために1時30分頃に出られるというのがお決まり。
だからいつも先生は11時くらいに来てウチで一杯飲んだ後、ファミレスで私が終わるのを待っていてくれる。
それってとっても無駄遣いだと思う。
「俺は別に、自分の飯のために……」
「そもそも、先生の注文は片寄りすぎです。不健康!それに私も料理の感想、聞きたいし」
「おま、」
「だから。遅番の時はお店、来なくてもいいですから。まぁ、普段より遅いお昼ご飯と晩ごはんになってしまうってのは否めないけど。いい提案だと思いません?」
お互いの妥協案。
“送られるのを認めること”と“食事を受け入れるのを認めること”
「とりあえず、まずは私の料理の腕を確かめるって意味でお試し。こないだの約束、果たさせてください」
言い切った私に、諦めのため息。
それを肯定と捉えて、連絡先を交換した。
そうして次の日から、このなんとも表現のしづらい関係が始まったのである。