先生、恋ってなんですか?

改めまして、小嶋旭です。

田舎から進学をきっかけとして、この地方都市に出てきて、はや7年。
一人暮らしにもなれました。
飲食店勤務、故に料理できます。
一人暮らし7年目、掃除もそこそこします。
昔から既製品のお菓子が好きじゃなかったからお菓子作りも良くしてた。
延長線上で今の職に繋がったと思う。

趣味で作ったお菓子も、一人で食べきるには多すぎるからと職場に持っていくことも少くない。
社員はキッチンもホールも回らなきゃいけないから、人並みに化粧もする。
もちろん、爪や香水なんかはご法度だけれども。
それでもやっぱかわいいものは好きだし、せっかくの一人暮らしだと部屋はナチュラルながら小物なんかにはこだわってる。

そんな私は、遠目から見るとどうやら、女子力がある、らしい。

「お前のそれは女子力じゃねぇだろよ」

そうムカつくことを言うのは、高校時代の恩師だった。
教師ともあろうものが口の悪い。

「今舌打ちしただろう」

目の前で湯気を立てて美味しそうな匂いをさせているハンバーグに夢中になってると思って油断した。
ギロリと睨まれて、ヘラっと笑って見せる。
そんな私の事など放っておいて先生は箸を進めている。
相変わらずいい食べっぷりだ。
もぐもぐ言わせているその姿を真正面から見据えて、私もおとなしく食事に手を伸ばすことにした。

時計は2時3分を指している。
遅い昼食というか、なんというか、である。


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