先生、恋ってなんですか?

1年365日、閏年は366日。
そのうちのどれだけを仕事に費やして、夢に費やして、それ以外には何やってるんだろうか。
ふとそんなことを考えた。
まぁ、1歩ずつしか歩けないから、できるところまでやってみるしかない。
25歳を迎えたばかりではまだまだ世間では若造なんだから。
まずは目の前にある山を越えていくしかない。

「お疲れさまでーす、お先でーす」
「お疲れー」

ガラリ、と扉を開けると、ざぁ、と雨が降っている。
そいえば、予報は雨だった?
来るとき晴れてたからなぁ。
……傘、無いやぁ。
先生、あるかなぁ。

まぁどうにかなるか、とフードを被って走り出す。
いつものファミレスについて、トントンとガラスを叩くと先生はぎょっとしてこちらを見る。
大慌てで会計を済ませてこっちに来るところを見ると……嫌な予感。

「お前はバカか!」

はい、的中。

「お前、女だろ」
「これに関しては女もなんも関係ないよね!」
「このズボラめ」
「それは言い返せないやつ」

そうやって言いながら、大きな傘をこちらに傾けてくれる。

「今さら~」
「今さらでもいいから、さしとけ」
「えー、先生が濡れちゃうよ」
「良いから」
「仕方がないなぁ。じゃあ先生が持ってて。半分!ね!」
「なんでお前が偉そうなんだよ」

と言いながら、ポケットからタオルハンカチを差し出してくれる。

「いや、いいよ」
「厚意はありがたく受け取っとけ」
「ありがとう」

呆れた視線が痛いです、先生。



< 35 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop