先生、恋ってなんですか?

春眠暁を覚えず、という言葉がとても似合う、いつまでも寝ていたい休日の朝。
軽い朝食を終えて、もう一眠りしたい、なんて不届きな事を考えていると、インターホンでその思考を遮られた。
相手が誰かも確認せずに、扉を開けると、不機嫌そうな先生がそこにいた。
あ、忘れていた。



「そもそも。何で街コンで出会いを求めようと思ったんだ?」

責めるような口調が怖いです、先生。

「いやぁ、こればっかりは仕方がなくない?だって私の生活は出会いがないんだよ!考えてもみてよ。毎日店と家の往復しかしてなければ会う人だって限られてる」

先生と二人横並びで電車に揺られている。
服を買いにいく、というのに先生がわざわざついてきてくれたのだ。
車でも出してくれるのかと思いきや、先生はどうやら車を持っていないらしい。
じゃあ何故ついてきてくれたのかというと、曰く、お前はあんまり服にこだわりがないだろう、ということだった。
こだわりなら、ある。
着やすい服だ。
そう反論しようと思ったけれど、街コンに行く、と言っているのだから、そうか着やすいだけではダメなのか、と思い当たり口をすぼんだ。

「店のスタッフは却下でしょ?お客さんは論外。合コン頼もうにもこっちに友達いないし……ってなると、街コンは都合のいいツールな訳だよ」
「あ、そ」

自分で聞いてきたくせに、興味無さそうな返事。
まぁ、いいか。
陽射しが優しくて、思わず出てきた欠伸すると、すぐ隣の先生も欠伸をした。



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