先生、恋ってなんですか?
そうしてチョイスされたのは、なんとも素敵なコーディネイト。
ファッション誌から飛び出てきたように、しっかりとしたコーディネイト。
「先生、女装癖でもあるの?」
「お前他に言うことないわけ?」
「や、ありがとう、ございます」
チッと舌打ち。
いやいや、本当に感謝してるんですけど。
だって普通に可愛い。
女子から見ても、女の子らしくて清楚ででも嫌味のない感じ。
かといってカジュアル過ぎず……
ファッションに疎い私はそれを的確に表現することができないのだが、とりあえず、可愛い。
プリーツ加工のスカートに、清楚なブラウス。
その裾にはレースなんかもあしらわれていたり。
ジージャンと足元は靴下。
「靴は今履いてるのでいんじゃねぇか?」
どれもお値打ちで、かつ、今の所有物すら計算に入れられたコーディネイト。
トータルで1万ちょっと。
「先生」
「……仕事してない昼間にやってるテレビなんてこーいう企画が多いんだ」
そうですか。
もうなにも言うまい。
「買ってくる」
「あ?それで良いのか?」
「良いよ、これで。可愛いじゃん」
「……そうか」
「そうだよ」
変な先生。
首をかしげながら、レジに向かった。
私がずっと決めかねていた、自分の服をものの30分程度で決めてしまった。
多少は先生の女性への趣味もあるのかなぁ?
清楚系が好きなのか?
「仲が良いんですね」
なんて、どうやら一部始終を見ていたらしい店員さんに言われてどうにも複雑な気持ち。
「そう見えます?」
「えぇ、とても。……仲良くないんですか?」
「いやぁ、そんなことは無いんですけど」
「ちゃんと、お客様にお似合いの物を選ばれている辺り、良く知られた間柄なのかなって」
「んん、どうなんでしょう?」
「あら。じゃあこれからどうにかなるかも知れないですね?」
「それは……」
無いです、と。
気さくで話しやすい店員さんに、思わず言ってしまいそうになったけれど。
セールストークにムキになるのも馬鹿らしいので、やめた。