先生、恋ってなんですか?

意気込んで街コンなんかに申し込んでみたものの、一人参加ってやっぱり浮くよねぇ。
サイトにはお一人様歓迎ってなってたけど。
そりゃ、大体みんなお友だちと来るよねぇ。
そうだよねぇ。
そう思うとひとりで参加している自分は友達いません!と、宣言しているようなものだな、と考える。
けど、ここでは事実そうなんだから仕方がないのだ。
“お一人様”も、25歳になれば、いろんなシーンで普通にあるわけで。
気にしないことに決めた。

あー、可愛い子がいるなぁ。
あの人は無表情だけどカッコイイ。
その横にいる兄ちゃんはチャラそうだな。

来ている人を物色していると、ダスン!と、すぐ後ろで大きな音がしたので思わず振り返った。
街コンには珍しい、デニムパンツにシンプルなVカットのセーターを着た黒髪セミロングのお姉さんが咳払いしていた。
今のはあの人か。
慌てて咳払いって、なんか、可愛い人だな。
向き直って、再びぼんやり。
時間が過ぎるまで、することがない。
先生と過ごすと時間はいつもあっという間なのに。
私いつからこんなに自分で立てなくなってしまったんだろう?
気づけば先生のことを、考えてしまっている気がする。
こんなんじゃ、ダメだ。

ほどなくして、街コンがスタートした。
一人参加の人には、一人参加の人が寄ってくるのがセオリーなのか、ちらりちらりと話しかけられては楽しい時間を過ごしてる。
けれど趣味の話や、夢の話をすると、みんな苦笑いして距離をとってくる。
今時の若い人は夢がなくていけないなぁ。


< 69 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop