先生、恋ってなんですか?

スタッフの人にキレイなお皿に交換してもらって、そのお皿にひょいひょいとお料理を並べていく。
もちろん、美しく。
美味しさって言うのは味だけのことじゃない。
やっぱり見た目も重要なポイントだと思うわけで。
自己満足ではあるけれど、仕事でもないのに、手にしていたお皿はとても良い感じに仕上がった。
……のは、良いけれど、みんなビュッフェとはいえ、こう散らかしっぱなしってどうなんだ。
サラダのレタスは飛び出てて、コーンは散らばってる。
パンケーキ用かな?ホイップクリームはべしゃーって。
大人でしょうが。
百歩譲って、潔癖に汚すな!とは言わないから、自分が汚してしまったところは直そうよ。
チッと舌打ちして、手近なところにお皿を置いて、そこにあったダスターと紙ナプキンでちゃちゃちゃっと片付ける。
これはもう飲食店の性としか言いようがない。
綺麗にするのはお皿だけじゃなくて、やっぱり並べられているお料理から、だよね。
じゃなきゃ、食べる気も半減しちゃうし、うんうん。
トングもちゃんと位置に戻して、スッキリきれい。
よし、OK。
と、自分のお皿をもって戻ろうとしたら、なんか……
男性が私のお皿を無表情で見てる。
なんだろう?
とりあえずお皿だけ取って、席に戻ろう。

「あ、すみません」

一言断るけれど、その人は会釈だけ返してくれるけれど無言でまだ無表情。
あまり関わり合いたくないタイプかも、と、すぐ立ち去る。
チラッと見えたその人の手にしていたお皿もとても綺麗に美しく盛りつけられていて、あ、なるほど、と思った。
盛り付けってやっぱりその人のクセとかもあるし。
もしかしたら同業かな?
それとも流行りのお料理男子的な、かな。
ラフな格好だけれど、どちらかというとあれは同業ではないな。
同業だったらあそこまで不躾じゃない。

あ、そうだパンケーキ。
ここの看板メニューというし押さえておかないとね。


< 71 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop