先生、恋ってなんですか?
結論。
私はいったいここに何しに来たんだろう?
パンケーキを頬張りながら考えている。
用意されていたお料理の数々はどれも美味しかった。
わりと濃いめの味が目立つお料理が多くて、野菜はサラダくらいではあったけど、案外子供味覚の先生は好きかもしれない。
おしゃれなお店らしく、置いてあるお酒は基本的に軽いカクテルとかだったけれど。
それはいいや。
ちゃんと飲みたければそれなりの店にいけば良いんだしね。
看板メニューというパンケーキもふわとろ食感で美味しい。
この軽さは別立てだろうな。
今度おやつに作ってみよう。
先生食べるかな?
メイプルシロップに、バナナか。
この感じだとナッツも合いそう。
……そうじゃなくて。
街コンに参加して、色んな人とお話をした。
色んな料理も食べた。
知らなかったお話も聞けたし、自分では作らないような料理も食べた。
男の子だけじゃなくて、女の子も、どの人も気さくで、誰と居ても大抵楽しかった。
けれどその分しってしまった。
お話をたくさん重ねて、思い知る。
お料理を食べて、思い知る。
思い知ったのは、自分の中にある先生って言う存在ばかり。
『例えば、何でもないときそいつのことが思い浮かんだり。嬉しいこととか悲しいこととか、旨いもんを一緒に分かち合いたいと思える、そんなやつがいたならそれが恋ってやつかもしれんな』
先生の言葉がリフレインする。
それこそが、この気持ちの証明だと言うように。
「眉間にシワ寄せて、美味しくないの?」
爽やかな男の子が、話しかけてくれる言葉にさえ、いつか先生が同じこと言ってたな、って振り替えってしまう。
バカみたいだな。
とても。
「いえ。とても美味しいですよ」
にっこり笑う私は、全然素直じゃない。