先生、恋ってなんですか?

そして、街コンは賑やかなままお開きになった。

外はまだ雨が降っている。
けれど私は、傘を差す気にもなれなくて、閉じたままの傘を引きずって歩く。
雨が服を濡らしていく。
一言先生に伝えれば、前に進めるのかな?
前に進めば楽になれるのかな?
前にも後ろにも進めていない今の自分を見たら夢しか目指してなかった、前しか向いていなかった18歳の自分は……何て言うんだろう?
迷わず前に、きっとそう。
だけどもう、どっちが前でどっちが後ろかもわからなくなってしまったよ。

雨が痛い。
自分の気持ちだと言うのに、どうやらこの厄介な気持ちは自分の努力なんかではどうにもならないものらしい。
誰と居ても楽しいっていうのは、結局、誰と居ても同じってこと。
誰と居ても頭の片隅に“先生”を思い浮かべている自分に気づいて愕然とした。
認めるしかないのかな。
彼女こそいない先生には、好きな人がいる。
先生ってば、あれでいて優しいから、そういうところに気づいたらきっと相思相愛になると思うわけで……
そしたら私、先生から離れなくちゃいけなくて。

あれ、これって街コンに行こうって思ったきっかけそのものじゃない。
見事な堂々巡り。
私って、こんなにちっぽけだったっけ。
夢を追いかけて、追いかけて、必死にやって来たはずなのに。
そう、だ。私にはまだ夢があるから。
一人に戻るだけだよ、大丈夫だよって。
あぁもう、本当に。
過去の自分が、ばかじゃん!って、嘆いてる。
もういいよ、また頑張れよって、泣いている。

雨が頬を濡らしていく。



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