先生、恋ってなんですか?
それでも、意を決して扉を開けてなかに入ると、当然のように先生も続けて入ってくる。
「とりあえずお前、風呂入れよ」
そう言われて大人しく、バスルームへ行く。
でも……すぐそこに先生がいる状況で、さすがにお風呂は入りづらい。
だから、濡れた服だけ着替えて、すぐに戻った。
けど、やっぱりそれはダメだったみたいで速攻でダメだし。
「お前風呂入ってねぇだろ」
「着替えたから、良い」
「良くねぇよ。冷えた体して、風邪ひくだろが」
「だって!先生がそこにいるのに……恥ずかしいでしょう、さすがに」
「……ようやく俺が男だって気づいた、てことか?まぁ。気持ちは分からんでもないが。どっちにしろ風邪引くのはよくねぇ。大体仕事持ってる自分のプライドもあんだろ?」
忙がしい休日にお休みをもらって風邪引きました、って?
そりゃふざけんな、だ。
反論の余地がなくて、大人しくお風呂に入った。
速攻で体を暖めて出たら、先生がやっぱりジトッとした目で見てきたけど、そんなのは無視して先生に質問を浴びせた。
「なんで先生、あんなところにいたの?」
「お前のこと、迎えにいった」
「そんなこと頼んでないのに」
「それについてはお前の意見は却下だな」
「なにそれ」
「俺は俺のしたいようにしてる」
なんか、腹が立つな。
なんで私この人のためにぐるぐる頭がワケわからなくなってるんだろう。
椅子に座ってる先生に向かって捲し立てる。
「だって先生、好きな人居るって言ったじゃん」
「言ったな」
「そういう人は、好きな人以外に思わせぶりな事しちゃダメだと思う」
「そうかもな」
「そうかもな、って。私のこと、男前だって言うし」
「そうだな。でもお前は女だよ」
「だって、」
「なぁ。……なんで、お前は今そんな怒ってんの?」
「知らないよ!もう、先生なんて好きな人のとこいけば良いじゃん!」
素直さは私の良いところだと思う。
でも、先生の好きな人の事になると、その素直さっていうのはどこかへ吹き飛ぶらしい。