先生、恋ってなんですか?
飲食店のピークというのは大抵どこも同じだと思うけれど、怒涛という言葉以外に当てはまるものを私は知らない。
ズラリと並んだ新規オーダー。
お食事時、飲み時というのは始まりの時間帯が大体同じで、伝票が嵩んでいく。
新規オーダーは品数もそこそこあるので順次素早くお出ししていかないといけない。
もちろん、オーダーを通された順番を間違わないように。
そしてその合間を縫うようにやって来る追加オーダーをこなしていく。
これはもう追加が入れば、すぐに。
そんな中にもお会計だ、片付けだ、お客さんがお酒をこぼしただのと細々としたことで人手を取られる。
ウェイティングが出てないとはいえ、いや、出てないからこそ、ノンストップで現場は回るのだ。
「ドリンク、でてる?」
時折他のスタッフと確認をしながら、ミスの無いよう、戦いは続く。
怒涛のような新規オーダーが回れば、とりあえずは一段落。
そうやってオーダーを回すピークは2時間少々。
そこを過ぎれば、あとは、まだ来るだろうまばらな新規客と、追加オーダーをこなすのはさっきの忙殺された時間に比べればかわいいものだ。
「相変わらず、見事な捌きだねぇ」
常連さんから声をかけられて、ありがとうございます、と笑う。
ホッとして気が緩んだところに、すみませーん、と大きな声が店内に響いた。