恋はまるで、粉雪のようで。
大学3年の時に、歓迎会の内容をいろいろと考えた中心メンバーに、修くんと私も入っていて。


つきあい始めたばかりの私たちは、楽しくてしかたない時期だった。


とにかく新入生に楽しんでもらおうと思って、がんばって準備した。


あの日に迎えた新入生の中に、この年下男がいたってことなんだ。


たくさんいたから、ほぼ覚えていない。




いつまでも疑っているのが顔に出ていたのか、年下男が、


「そういえば、よく一緒にいた橋本さんや河上さんは、元気?」


と聞いてきた。


俺は本当に知り合いなんだぞ、っていうドヤ顔で。


「ふたりとも元気ですよ、既婚者なのであまり会えないですけど」



橋本祐子は、私を男子高の文化祭に誘った美人で、有名企業に勤める旦那さんと結婚して、1歳になったばかりの女の子がいる。


やっぱり、主婦と独身女では生活リズムが違いすぎて、赤ちゃんが生まれてお祝いして以来、会えていない。


河上美佐も高校からの友達で、美佐も結婚して名古屋に住んでいる。


美佐には子供はいないけど、まだ夫婦で遊びたいかららしい。


美佐とも、祐子の出産祝いへ一緒に行ってから、会えていない。



連絡をとっている学生からの友達は、この二人だけ。


そのうち、年賀状のやりとりだけになって。


『今年こそ会おうね』なんて、心にもないことを書かれたりするんだろうな。



私は、二人と会いたいと思っているけど。


自分から『会おうよ』ともちかける勇気はない。


そんなこと言っても、二人には迷惑かもしれないし、会いたいなんて思っていないかもしれないと考えると、このまま浅い関係でいいと思う。








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