恋はまるで、粉雪のようで。
「ひなたさん、寒いから連絡先教えて」



年下男、まだあきらめてなかったんだ。



「寒くても暑くても、関係ないですよね」


「じゃあ、どこか別の店に入る?」


「いえ、もう帰ります」


「連絡先」



あーあ、もう単語しかしゃべんなくなっちゃったよ。



「それはちょっと・・・」


「俺がひなたさんを10年前から知ってるって、わかった?


だから、連絡先教えて」


「私の連絡先なんて知って、どうするんですか?」


「決まってるでしょ、次に会う約束をするから」


「もうお会いすることはないと思います」


「俺は会いたいんだよ」


「どうしてですか?」


「どうしてって・・・ひなたさんのことが気になるから」


「はい?」


「10年の時間を埋めたいから」



ますます意味がわかんない。



「10年間、忘れられなかったから」


「そんな映画みたいな話、あるわけないですから」


「俺、本気だから。


からかってなんかないし、この偶然をきっかけにして、ひなたさんをもっと知りたいから」







< 11 / 94 >

この作品をシェア

pagetop