恋はまるで、粉雪のようで。
「ひなたさん、明日一緒に行きたいところあるから、18時にさっきのカフェの前に来て」


「カフェの中じゃなくて、前ですか?」


「そう、店の入り口とは反対の歩道の端にベンチあるから、その辺り」


「わかりました、それじゃ」


「今日はありがとー」



手を振りながら帰っていく年下男。


時計を見たら、もう23時すぎ。


送別会が遠い昔のようだった。



家まで歩いて5分の距離が、いつもよりなぜか早く感じた。



一人には広すぎる一戸建ての玄関を開けた時、肝心なことを忘れていたことに気づいた。


「クリーニング代、渡しそびれちゃったな・・・」


真っ白なセーターを着こなすような、私には似合わない年下男。


明日、何を着ればいいんだろう。


一瞬、服装で迷った自分が恥ずかしくなった。


なに着ていったって、関係ないのに。


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