恋はまるで、粉雪のようで。
「えっ、でも・・・」


「ほんとにいいから。


せっかくだから何か選んできたら?」


コーヒーも来ちゃったし、飲まないで帰るのはもったいないし。


貧乏性だから、本を選んでコーヒー飲み終わったら帰ろうと思い、席を立った。


とりあえず、好きな作家の棚を探し、背表紙をながめてみる。


新刊も揃っていて、買うのをためらっていた本があったから、迷わず手に取った。


「その作家、好きなんだね」


「わっ!」


突然、背後から話しかけられて、変な声が出ちゃったじゃん。


「昨日もその作家のミステリー読んでたでしょ」


「よく覚えてますね」


「俺もあのミステリー読んだから。


犯人はね、被害者の・・・」


「ダメ、言わないでよ!」


思わず、大きな声が出てしまった。


「言わないよ。


やっと敬語やめてくれた」


クスクス笑いながら、ふたりで席に戻った。




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