恋はまるで、粉雪のようで。
「ごめん、言葉足らずで。


誰かから聞いたわけじゃないんだ。


その、修先輩がひなたさんに『別れよう』って言ってた喫茶店で、俺バイトしてたから」



10年前の、雨の日曜日。


修くんと映画を見に行って、帰りに喫茶店へ入った。


まさか、サヨナラされると思っていなくて。


「どうして、そんなこと言うの?」


泣きながら責める私の姿は、かなり目立っていたはずだ。


「ごめん、ひなたの体に飽きた」


そう冷たく言い、修くんは出ていった。



しばらく動けなかった情けない姿を、この年下男は見てたんだ。






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