恋はまるで、粉雪のようで。
甘い待ちぶせ
今日は水曜日。


会社は休みだから、家にひきこもってゴロゴロしてたけど、昨日のことが頭から離れない。


慌てて店を出たから、コートを忘れてきてしまった。


家に着いてから気づいたけど、お店が預かってくれていたとしても、問い合わせて取りに行くのが恥ずかしかった。


あんな大声だして揉めてしまったし。


お気に入りのコートだったけど、あきらめるしかない。



今日は、昨日とは違って冬晴れだ。


すっきりと澄みわたった青い空。


風に揺れている洗濯物をボーッと見ていたら、スマホが鳴った。


どうせ、なんとなく登録しているDMだろうと思ってスマホを手に取ると、『榎本櫂』と表示されていて、思わず落としそうになった。


誰もいないのに、キョロキョロしてしまう。


おそるおそる開いてみると、


『ひなたさん、昨日忘れたコートは俺が預かってるから。


持っていくから、いつでも連絡して。


俺の勤務先は昨日のブックカフェの近くで、家はA駅だから。


ひなたさんちはどこ?


ひなたさんの勤務先とか、好きな料理とか、趣味とか、もっともっと聞きたいことがあるんだけどな。


連絡待ってるよー』




A駅か、路線も偶然一緒なんだ。


お互いの自宅も勤務先も、みんな同じ地下鉄の路線だなんて。





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