恋はまるで、粉雪のようで。
「うち、ここ」


「そっか、もう覚えたから、なんかあったらいつでも呼んで。


今日は遅いからもう帰るけど、また今度遊びに来る」


「じゃあ、おやすみなさい」



紙袋を受け取ろうと手を伸ばしたら、ギュッと握られた。


「えっ、なに?」


「今日、たくさん話したけど、やっぱり俺とはつきあえない?」


心臓が口から出そうなくらい、ドキドキした。


「だって、年上だし、私じゃなくてもいいと思うし・・・」


「またそうやって自分を卑下する。


俺は、他人が何と言おうと、ひなたさんが好きだから。


過去に何があったかわからないけど、ひなたさんは世の中の男全員から好かれたいの?」


「そんなことない」


「じゃあ、俺がひなたさんを好きで、ひなたさんが俺をちょっとでも好きなら、つきあえるでしょ。


俺は、ひなたさんと一緒にいたいんだよ」



うれしかった。


油断したらニヤニヤしちゃいそうなほど、うれしかった。



「ほんとうに、私でいいの?」


「ひなたさんとずっと一緒にいたいし、ひなたさんのこともっと知りたい」



櫂くんの言葉ひとつひとつに、嘘はないと思ったから。



「・・・よろしくお願いします」


「ほんと?


俺と一緒にいてくれる?」


「うん」


「あー、よかったぁ」


その笑顔を、信じることにしたんだ。



< 37 / 94 >

この作品をシェア

pagetop