恋はまるで、粉雪のようで。
私は、両親の勧めるままに中学受験して、中学から大学までエスカレーター式で進学できる女子校に入学した。


そこそこの学力がある生徒がいて、お嬢様も多かったから、世間からも認められている学校だと思う。


女子校だから、当然学内での出会いは皆無。


高校生になると、男子校の文化祭へ行ってみたり、友達の彼氏から紹介してもらったりして、つきあい始める子もチラホラいた。


私はアイドルにいれこむこともなく、彼氏がいるわけでもなく、『男子を好きになる』ってことがよくわからなかった。


だから、友達から男子校の文化祭へ行こうと誘われた時も、正直乗り気ではなかったけど、


「ひなたちゃん、何事も経験だよ」


くりくりした目で訴えてくる祐子には逆らえず、一緒に行くことにした。



男子校だから、ほぼ男子だらけの校内に圧倒されたけど、たこ焼とかポップコーンとか、やってることは特別目新しいことはなくて。


祐子と一緒に歩いていたら、


「ねえねえ、ちょっとのぞいていかない?」


と、教室から声をかけられた。


私は、自分に言われたと思い、彼の方を見ると、


「おまえじゃねーよ、ブス!!!」


と、一蹴された。


祐子はかわいかったし、彼氏がいないのが不思議なくらいだった。


『私より祐子がずっとかわいい』ってことを忘れるほど雰囲気にのまれていたことに気づいた私は、スゴスゴとその場を離れた。




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