恋はまるで、粉雪のようで。
退社して地下鉄に飛び乗り、ブックカフェに走った。


櫂くんは、外に面したカウンター席に座って本を読んでいた。


私の彼氏は、こんなかっこいい人なんだ。


ちょっとみとれていた。


私の視線に気づいたのか、櫂くんが顔をあげて目があって、笑ってくれた。


慌ててコーヒーを飲み干してる。


その仕草がおかしくて、私も思わず笑ってしまう。



私は、いつも笑っている櫂くんが、好きなんだ。



「ひなたさん、お疲れさま」


「櫂くん、待たせてごめんね」


「どこでごはん食べる?


金曜だから、どこも混んでるかもしれないけど」


「私は苦手なものないし、任せていい?」


「オッケー、じゃあこっち」


連れていってくれたのは、おでん屋さんだった。


ちょうどカウンター席がふたつあいていた。


「私、おでんを外で食べるの、初めて」


「この店は、まだ新入社員だった頃に課のみんなで初めて来たんだ。


それ以来、何度か来てる」


ビールと、おでんを何品か頼んでくれた。


店内は、おでんのだしの香りと湯気とで、なんともいえない良い雰囲気。





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