恋はまるで、粉雪のようで。
くるっと振り返った櫂くんに向かって、


「あ、あの、えっと、あがって、コーヒーでも・・・」


私の声は、どんどん小さくなってしまう。


「じゃあ、お言葉に甘えて、終電までお邪魔しようかな」


私の目の前に立つと、私の頭をポンポンたたいて、


「誘ってくれるの、待ってた」


って、笑ってくれた。


殺し文句だよ、それ。


頭の中で、部屋は散らかってないよね、トイレとか洗面台とか大丈夫だよね、コーヒーあったよね、と指差し確認しまくった。


「寒いけど、ソファーに座ってて」


急いでエアコンつけて、手を洗ってポットのお湯を沸かした。


「ひなたさん、ゆっくりでいいからね」


櫂くんが、うちのソファーに座ってる。


なんか、自分が信じられない。



「どうぞ」


「ありがと」


コーヒーをふたりで飲むけど、何も話せない。


緊張して、カップを持つ手が震えそう。


「ひなたさん」


「は、はい」


「俺のこと、好きになってくれた?」



櫂くんのストレートすぎる言葉に、驚いて息が止まるかと思った。


でも、私の正直な気持ちを、素直に伝えたかった。


櫂くんの言葉や態度は、私をどんどん変えてくれていた。



「うん、好きだよ」


「俺は、どんどん好きになってて、困るくらい」


「困ってるの?」


「そう、今も、抱きしめたりキスしたりしたいけど、それだけで止められる自信がないから、自制してる」





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