恋はまるで、粉雪のようで。
そ、それって、一気にキス以上しちゃうってこと?


正直、そこまでの覚悟も準備も、できてない。


とまどっているのが顔に出ていたのか、


「ひなたさん大丈夫だよ、無理矢理したりしない。


でもさ、キスはしてもいい?」


私の顔をまっすぐ見て、言われてしまった。



私も、櫂くんとキスしたいって、思ってた。


だから、


「うん、いいよ」


って、答えて。


櫂くんの右手が、私の左頬にそっとふれて。


そのまま指で唇をなでられて。


目を閉じたら、櫂くんの唇が重なった。


あったかくて、心地よくて、気持ちよくて。


キスって、こんな感じだったっけ。


私はすっかり、心を奪われてしまった。



唇が離れて、ギュッと抱きしめられた。


私も、ぎこちないながらも、櫂くんの背中に手をまわした。


「ひなたさん、次ここに来るときは、覚悟してて」


「ええっと、それは、そういうことだよね」


「そういうことだよ」


不意打ちでキスされた。



テレビもつけないまま、ただ寄り添って座っているだけだったけど。


ふれている部分が自分でもわかるくらい熱かった。


それはきっと、エアコンのせいでもコーヒーのせいでもなくて、櫂くんの体温を意識しているから。


終電の時間まで何でもない話しかしなかったけど、私には久しぶりの刺激で、くらくらした。




「ひなたさん、今日はありがと。


また連絡するから、仕事がんばって」


「ありがとう、おやすみ」


玄関先で見送りながら、キスの余韻にひたってた。





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