恋はまるで、粉雪のようで。
祐子と美佐なら、いまの不安を解決してくれるかもしれない。


めったに会えない3人が、いま一緒にいるのは貴重だから。


思いきって、話してみることにした。


「実はね、私、10年も誰ともつきあってなかったの。


だから、櫂くんとどんな風につきあえばいいのか、よくわからなくて」


「そっか、修くん以来誰とも、ってことなんだね」


「別れた頃も言ったと思うけど、ひなたは、たまたま悪い男にひっかかっちゃっただけなんだよ」


「そうなんだろうけど、私はどこかでズルズル引きずってたみたいで」



あのフラれ方は、私のトラウマになるには十分すぎるくらいだった。



「でも、サークルが一緒の時から、櫂くんはひなたのこと気にしてたし、その気持ちは本物だよ」


「そうだよ、だから、櫂くんになにもかも頼っていいと思うよ」


「でも私、10年も、その・・・してないんだよ」


「セカンドバージンっていうんでしょ、働く女性にはけっこう多いみたいだよ」


「櫂くんに、10年してなかったって、正直に不安を打ち明けてみたら?


きっと、優しくしてくれるよ」


「そんなこと話して、ひかれたらイヤなんだけどな」


「ひなたは、櫂くんのこと本当に好きなんだね。


だから、嫌われたくないって心を閉ざしてる。


でも、櫂くんがひなたのこと本気で好きなら、ひなたを全部受けとめてくれるはずだし、ひなたには心を閉ざしてほしくないって思ってるはず。


もし話したあとで櫂くんの態度が変わったら、そこまでの男じゃなかったってことだよ」


祐子も美佐も、結婚して強くなったみたい。


的確なアドバイスに、涙が出そうだった。


「祐子も美佐も、ありがとう」


「どういたしまして」


「結果報告、待ってるからね」



お昼寝から起きた理央ちゃんと少し遊んでから、祐子の家をあとにした。


美佐は別れ際、


「ひなたは、自分に自信を持たなすぎ。


かわいいし、しっかりしてるし、もっと堂々としてていいんだからね」


強い言葉で励ましてくれた。


急に自信をもつことは無理そうだけど。


櫂くんと会って正直な気持ちを伝えたくなって、実家へ戻る美佐と別れてから、櫂くんへ電話した。



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