恋はまるで、粉雪のようで。
櫂くんは話し終わると、私の肩を抱き寄せてくれて。


私は、櫂くんの肩に頭をのせることになり。


櫂くんの香りを感じて、ドキドキしていた。



「話してくれて、ありがとう」


「どういたしまして」


「あのね、私・・・」


「うん」


「修くん以外、つきあっていた人はいないの」


「うん」


思いきって口を開いてみたら、意外なほどすんなり話すことができた。


「つまり、その、10年も誰ともつきあってなくて。


だから、その、どうしたらいいのか、最近の事情に疎くて、こんな過去のある私じゃ嫌われるんじゃないかと思って、不安で、それで・・・」


櫂くんは、私をそっと起こすと、おでこにキスした。


「ひなたさんを嫌いになる理由にはならないよ。


っていうか、男は、つきあっていた彼氏が多い女の子の方が喜ぶと思ってた?」


「うん、だって、人数イコールもてるってことでしょ」


「男は、独占欲が強いから、少ない方が嬉しいんだよ。


過去の男にもヤキモチ焼くし」


「そういうもの、なのかな」


「そ、だから、俺いま嬉しい」


そのまま、抱きしめられた。


心臓の音が、そのまま櫂くんの胸に響いているんじゃないかっていうくらい、大きくなった。


そのまま、唇が重なって。


何度も何度も。



櫂くんは、私の目をまっすぐ見ながら、


「俺、ひなたさんが受け入れてくれるなら、ひなたさんの全部が欲しい」


優しい顔だけど、力強い言葉で、私の心を揺さぶった。



櫂くんにすべてを委ねてみたい気持ちと。


恥ずかしくてたまらない気持ちが入り交じっていた。



でも、ここまできたら、櫂くんに身を任せたかった。



「櫂くん、私も、櫂くんとひとつになりたい」


「ひなたさん、もう俺、後戻りできないよ」


櫂くんは、私を軽々とお姫様抱っこした。


「キャッ、櫂くん、私重いよ」


「平気平気、で、ベッドルームはどこ?」


「えっ、あ、2階の右側の部屋です・・・」



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