恋はまるで、粉雪のようで。
階段を一段あがるたびに、緊張が増していく。


下から見上げる櫂くんの表情も、なんとなく固い気がする。


ドアを開けて、ベッドに寝かされて。


「ひなたさん、いい?」


最後の確認に、私はうなずいた。



唇に、頬に、首筋に、胸に、たくさんのキスがふってきて。


いつのまにか一糸まとわない姿になった私たちは、お互いを求めて手を伸ばした。


エアコンをつけていないのに、布団の中で重なった私たちは、体がほてるほどあったかかった。


櫂くんが私に入ってきて、でもその痛みに耐えたのは一瞬で。


あとは、もう、なにがなんだかわからないほどの快感に、溺れていた。



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