恋はまるで、粉雪のようで。
お父さんの部屋のクローゼットを探して、スウェット上下を引っ張り出した。


バスタオルとフェイスタオルを出して、バスマットをひいて。


櫂くんを迎えに行こうとしたら、もう階段を降りてきてて。


「準備ありがとう」


「ううん、こっちだよ」


「じゃ、お先に」


櫂くんがシャワー浴びている間、自分の着替えを準備して、ビールのグラスを冷やした。



「お待たせ」


上半身裸で、肩にバスタオルをかけて出てきた櫂くんの姿に、ドキドキしてしまう。


これじゃあ、心臓がもたないよ。


「あっ、ビールあるよ」


目をそらしてごまかした私を見て、


「ひなたさん、かわいい」


櫂くんは、私の頬にそっとキスした。


私が普段使っている、シャンプーの香りがした。


そんな小さなことが、とても嬉しかった。


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