恋はまるで、粉雪のようで。
一本の電話
火曜日の朝。


アラームはセットしていないのに、7時に目覚めてしまった。


天気予報通り、朝からいい天気。


身支度を整えて、洗濯機をまわしている間に朝食を済ませ、洗濯物を部屋干ししながら今日はどうしようかと考えた。


久しぶりに、ドライブでもしようかな。


一人で食事するのは慣れているし。


ドライブして、いい景色みて、買い物して帰ってこよう。


櫂くんのことはひとまず忘れて、仕事の疲れを癒すことを優先しよう。



家族でもよく行った房総半島の国道沿いは、春を告げる花がたくさん咲いていた。


道の駅で休憩したり、海沿いのお寿司屋さんでランチして、高速で戻って家の近所で買い物して帰宅したのが19時すぎ。


ガレージに車を停めて家に入り、冷蔵庫やパントリーに食材をしまって、ふと室内のインターホンのボタンが赤く点滅しているのに気づいた。


来客があってインターホンが押されると自動で録画されるようになっているので再生してみたら、櫂くんの姿がうつっていた。


時間を確認したら、ほんの10分前だった。


今から走って駅まで行けば、会えるかもしれない。


そんなことを考えた自分を客観的にみて、気づいてしまった。



私は、櫂くんのことがまだ好きだから、会いたいんだってことに。




< 74 / 94 >

この作品をシェア

pagetop