恋はまるで、粉雪のようで。
だけど、冷静に考えたら、私の脚力で走って間に合うのは不可能で。


それなら電話すればいいだけなのに、何を話せばいいのかわからなくて迷っていた。


あの女の子は誰?って問いつめるのはどうかと思うけど、本当は誰なのかめちゃくちゃ知りたい。


でも、真実を知るのは怖いし、恐れている結果を突きつけられたら立ち直れないかもしれない。


そんなことをくどくど考えていたら、時間が過ぎていて。


でも、昨日の美佐の言葉が、私の背中を押してくれた。




『日曜みかけた女の子との関係が気になって、不安になった』


『フラれちゃうって思って、怖くて距離をおいた』


『でも、昨日駅で待っていてくれて嬉しかった』


『やっぱり私は、櫂くんのことが好きだから』



頭の中に言いたいセリフを並べてから、櫂くんの番号を鳴らした。



呼び出し音は鳴るけど、櫂くんは出なかった。


出てくれないかもしれないって思ってたから、冷静に受け止められた。


櫂くんは私からの電話に出るつもりはなくて、でも家に来てくれたのは、きっと別れを告げるためだったんだ。


電話じゃなくて直接会って話そうとしてくれたのは、櫂くんの優しさってことだよね。



電話を切って、そのままお風呂に入った。


メイクを落としてシャワーを浴びて、あとからあとからあふれてくる涙を流した。








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