恋はまるで、粉雪のようで。
お風呂から出て缶ビールを飲んだ。


休みなのに、一人で過ごすのは久しぶりだ。


外出先で店員さんと話すことはあっても、それは必要最低限のことだけだ。


私はこれからずっと、一人で生きていくんだろうな。


友達はいるけど、少なくて。


仕事上のつながりはあっても、プライベートで会う人はいなくて。


そのうち、犬とか猫とか、ペットを飼うようになって、お一人様を満喫するのかも。


飲み終わった缶ビールをゆすいでからゴミ袋に入れて、歯をみがいて寝ようと思い、スマホを手に取った。


ランプが点滅していた。


開くと、櫂くんから着信があった。


ちょうど、お風呂に入っていた頃だ。


こんな風にすれ違うのは、やっぱりうまくいっていないから?


着信から1時間以上過ぎていたから、かけ直すのはためらわれた。


たった、一本の電話なのに。


話してもいないのに、こんなに振り回されてるのに、どこかで喜んでいる自分がいた。





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