恋はまるで、粉雪のようで。
「で、ひなたさんは俺にヤキモチやいてくれたってこと?」


「えーっと、まあ、そうかもしれないけど・・・」


「だから俺を避けてたってこと?」


「避けてたっていうか、二股かけられてたと思ったから」


「ひどいな、俺はこんなにひなたさんが好きでたまんないのに」


櫂くんは、自分のおでこを私のおでこにくっつけた。


顔が近すぎてドキドキする。


目線が合わせられなくて、床を見てしまう。



「ひなたさん」


「・・・はい」


「もう少し、俺を信じて。


何か不安なことがあったら、何でも話して。


そうじゃないと、気持ちが伝わらないから」


「・・・うん、ごめんね」


「じゃあ、俺にキスして」


「えっ?」


「ひなたさんからキスしてくれたこと、まだないから。


もう、俺から離れないっていう、約束のキスして」


そ、そんなの、10年のブランクがある女には無理。


「で、でも・・・」


「キスしてくれたら、俺から距離をおいたこと許してあげる」


そんなの、恥ずかしすぎる。


でも、櫂くんを失いたくない。


ずっとずっと、櫂くんと一緒にいたい。



年下だけど、たった一人の頼れる存在だって、気づいたから。


私は背伸びして、櫂くんの唇にそっとキスをした。



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