恋はまるで、粉雪のようで。
「えっ、どうしたの?」


「ごめん、勝手にあがっちゃって。


合鍵もらったから、また夕飯作っちゃった。


やっぱ、しつこかった?」


「そんなことないよ、すごく嬉しい」


「驚かせようと思って、連絡しなかったんだ。


お腹すいたでしょ、早く食べよう」



嬉しすぎて、涙が出そうだった。


嬉しくてつい、櫂くんに抱きついた。


このまま一緒に、暮らせたらいいのにな。


でも、櫂くんの都合もあるし、そんなワガママ言えない。



「ありがとう」



ありったけの気持ちをこめて、つぶやいた。


「どういたしまして」


櫂くんがスマホ片手に作ったっていうオムライスは、おいしかった。


「俺、あんまり料理に興味なかったけど、これを機に頑張ろっかな」


「でも、いつも作ってもらうのは悪いよ」


「いいよ、将来の予行練習だし」


「将来?」


「そ、俺たちこれからずっと、一緒だから」



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