恋はまるで、粉雪のようで。
海へ行った日から数ヵ月後の、夏休み。


私の両親が、海外から一時帰国した。


目的はもちろん、結婚の承諾をもらうため。


櫂くんのご両親にはすでに了解を得ているものの、櫂くんにとっては私の両親に会うのがとても緊張することらしくて。


朝からソワソワ落ち着かない。


プロポーズされてから、櫂くんはたびたび私の家に泊まって過ごすようになり。


彼氏ができて半同棲状態だってことは両親に電話して話してはあるものの、櫂くんは不安でいっぱいみたい。



でも、そんな不安は必要なかった。


個室のレストランで対面して、櫂くんはドラマみたいに挨拶したけれど、両親はあっさり了承してくれたから。


「こんな嫁き遅れの娘と、あんな古い家でよければ、よろしく頼むよ」


「そんなことありません、素敵なお嬢さんとおうちです」



固い話はそこで終わり、あとはお互い食べて飲んで笑って、楽しい時間を過ごした。






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