恋はまるで、粉雪のようで。
『ってことで、もう入籍したんだ』


『おめでとう!!!』


裕子と美佐には、それぞれ電話で報告した。


まさか、こんな日がくるなんて。


『式挙げるんでしょ、呼んでね』


『結婚式には、ぜーったい行くからね』


お互いの友人と家族だけの、こじんまりした式にする予定。




ふれたらこわれてしまった恋しか経験のない私が、もう決して失いたくない人と出会って、幸せをかみしめている。


その幸せは、ふれればふれるほど、嬉しくて笑顔になってしまう。



私の両親と会ったあと、すぐに入籍して。


櫂くんは私の実家に引っ越してきた。


ふたりの新しい生活は、まだ始まったばかり。



「ひなた、どうしたの?」


「ううん、なんでもない」


「なんでもなくないだろ、ニヤニヤしてたし」


「・・・櫂と一緒に暮らせて、嬉しくてつい」


「まだ一週間しかたってないしな、その気持ちをずっと感じてもらえるように、俺も頑張らないと」


「私も、油断しないように気をつけようっと」


「あっやべ、もうこんな時間」


「ほんとだ、急ごう」



「行ってきます」


「行ってらっしゃい」


玄関でキスをして、戸締まりして、二人で駅に向かった。


こんな、なんでもない日常が、幸せのひとつ。



この幸せが、永遠に続きますように。




○o。. fin .。o○

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