桃色アルバム
「もうおなかいっぱい」

ふーと一息つきながらゆりかが言った。

「俺も。結構食べたぜ」
見ると、たくさんあったおにぎりも、すっかり空になっていた。


「いっぷくしてから、また泳ぎに行こうぜ」
崎野がケイタに言う。

「上野とは勝負がつかねえからな。今度は全員で勝負しようぜ」
「いいねえ。でも、ゆりかは泳げないんだよ」
「だったら、うきわつけてついてこればいいじゃん」

崎野が言うと、ゆりかが「そうする」と頷いた。


「勝負はいいけどさ。片付けはみんなでするよ」

今にも駆け出そうとする渡部を止めて、さとこが言った。


「あんたもガキだねえ、渡部」
「それを言ってくれるな」

ケイタたちは思わず笑ってしまった。
< 108 / 216 >

この作品をシェア

pagetop