桃色アルバム
「そういえば、ゆりかっていろんな声出せるんだよな」
ケイタはいきなり思い出して言ってみた

「うん、出せるよ」
「じゃあ、おばあさんの声っていけるか?」
「出せるけど、どうして?」

ゆりかが不思議そうに顔を覗き込んでくる。

「だからさ。くつばこにクモを入れるんだろ?そしたらその夜にカバん家に電話するんだ」
「それがわたし?」
「そ。そのあとはセリフ考えてくれや。なんとかなるだろ?」
「もちろん。カンタンだよ」

ゆりかがやっと理解して、にっこりした。

「あとは、カバに恥かかしてやりゃ完璧だ」
「おまえ、すげえこと思いつくんだな。本物の天才だぜ」
渡部がすっかり関心した。
その言葉にケイタは正直に照れてしまった。

「みなさん、こちらが我が秘密基地の名物、いたずら大王の間宮ケイタでございます」
崎野がおどけて外国でやるように体を半分におって言った。

その瞬間、また笑いがはじけた。
ケイタは笑いながら思っていた。

こんなにたくさんの人間と触れ合うのは何年ぶりだろう。
何年ぶりにこんなに笑ったかな。
胸がドキドキする。
この仲間となら、何かやらかせそうな気がする。
今回の計画も、うまくいきそうな気がする。

みんなそう思っているのか、狂ったように笑い続けた。
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