桃色アルバム
「ゆりかに何かあったのかな・・」

川嶋も頭を悩ませている。


「今日一日、ゆりかの様子を見ておこうぜ」
「でも、授業中まではわかんねえよ。ゆりかは5組だろ。この中に5組のヤツなんていねえじゃんか」

崎野が困ったように言う。


「じゃあ、5組の子に頼めばいいじゃないか。できるだけ、おとなしい子がいいな」

そう言って、川嶋は5組に入っていき、ひとりで机に座って本を読んでいる女の子に声をかけた。
最初はオロオロしていたが、川嶋が何か言うと、顔を真っ赤にしてコクコクと狂ったように首をたてにふっていた。


「・・川嶋、あんた何したの?」
「授業中のゆりかの様子を見てくれって頼んだだけだよ。それも極秘で、ってね」
「さすが、モテる男にはみんな言うこと聞いてくれるんだな」

渡部がムスッとした。
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