桃色アルバム
「そんなことないよ。そろそろチャイムなるからクラスに戻るぞ」

言いながら川嶋は歩き出した。

「ゆりかのヤツ、大丈夫かな」
「ああ・・・・」


上野に返事をしながら、ケイタもずっと悩んでいた。
ゆりかのことが心配でしょうがなかった。

ケイタが教室に足を踏み入れると同時に、チャイムがなった。

のろのろと席につくと、川嶋がこちらを見ていた。

パクパク口を動かしている。
ケイタもそれにかえした。

『大丈夫か?』
『ああ、大丈夫だ』
『ゆりかも気になるけど、さとこもだな』

そう口を動かすと、大きなため息をついて、背もたれに背中をあずけた。

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