桃色アルバム
だけどさとこは黙ったまま何も言わない。


そうして、そのまま帰ってしまった。

「さとこ、大丈夫かな」
「あいつ、気がぬけちゃってたぜ」

崎野が歩きながら小石を蹴る。

「なんか、わけわかんなくなってきた」

渡部が上を向いて頭をかかえた。


「ゆりか、どうなるんだろうな」
「もう少し、様子みてみるか」


上野がため息を吐きながら言った。

会話はそこで途切れ、あとは沈黙が流れる。

分かれ道で「じゃあな」とことばを交わし、ケイタは家に帰った。




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