桃色アルバム
そのとき、コンコンと部屋のドアをノックされた。

「ケイタ、まだ起きてたの。早く寝なさいよ」
「わかってるよ」

ぶっきらぼうに言い、母親を部屋から追い出す。


ドンを床ににおろし、電気を消す。

目を閉じても、なかなか眠れない。
静かな部屋に、秒針の動く音だけがいやというほど耳に響いてくる。

目を開け、真っ暗な天井を見つめる。


じっと見ていると、吸い込まれそうになる。


時間だけが、静かに過ぎた。

< 140 / 216 >

この作品をシェア

pagetop