桃色アルバム
「あちぃな。間宮、ちょっとうちわ貸してくれや」

ケイタがうちわを渡すと、前襟をつかみ、パタパタと扇いだ。

先にくつ箱いついた川嶋の手がとまる。


「どうした?」
ケイタと渡部がとなりから川嶋のくつ箱を覗き込むと、上靴の上にピンクの封筒がおかれていた。

「ラブレターか?」
「昨日と同じ封筒だ」

そう言うと、3人は顔を見合わせた。

「あて名はなんて書いてあるんだ」

封筒を横からつかみ、裏返して名前を見る。

「『高橋さとこ』。さとこだ」

「持っていこうぜ」

渡部がいそいそと上靴の履き替え、1組にむかっていった。



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