桃色アルバム
「大丈夫だよ、ゆりか」

さとこが近寄り、やさしく頭をなでると、ゆりかの目からぶわっと涙が溢れ出した。
胸に顔をうずめ、しゃくりをあげている。

「泣くなよ、ゆりか!」

渡部が強い口調で言う。


「別に死ぬんじゃねえんだ。あいつは、死なねえよ」

みんなに言うと同時に、自分にも言い聞かせている気がした。


「あなたたちは、たくやのお友達?」

ひとりの女の人がハンカチを持ちながら歩いてきた。

「わたくし、たくやの母でございます。こんなにたくさんのお友達がいたのね」

そう言うと、目じりにハンカチをあてた。


「あの、上野は!大丈夫なんですか!?」
「まだ手術中だから・・終わったら電話させてもらうわ。おうちの方も心配していらっしゃるし、もう帰りなさい」

みんなが頷き、向きをかえて歩いていく。

「間宮・・」

崎野が肩に手をおいた。

そのまま、ケイタを連れ外に出る。

冷たい空気が、すぅと肺に入り込んできた。
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