桃色アルバム
「たくやは幸せものだわ。こんなにやさしいお友達にかこまれて」


上野の母親の目がきらりと光った。
あわててハンカチでぬぐう。


「ごめんなさいね」
「あ、全然だいじょうぶです」


ゆりかも顔の前で両手をふりながら言った。


「なぁ、間宮」

川嶋がケイタの肩をたたいた。


「何だ?」
「上野が元気になったらさ。旅行、行くだろ?」

そういう川嶋はいつもと違い、不安そうだった。

「もちろんだ」

ケイタも肩をつかみかえし、笑うと、川嶋にも笑顔がうかんだ。

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