桃色アルバム
「当たり前のこと聞いて、悪かったな」
「いや、不安なのは誰でも同じさ」

ケイタが言うと、「そっか」と川嶋はガラスに向き直った。



「早く、みんなで行きたいな」
「ああ。7人で、だ」


眠っている上野を見る。
傷もほとんど治っているが、目を覚まさない。


その姿を見ていると不安になるが、仲間たちがよこにいるだけでもその気持ちをかき消せる。

プラスの方向へともっていけた。


それだけが、ケイタの唯一の支えだった。




「川嶋、間宮、上野のおばさんがジュースおごってくれるって」

ゆりかがケイタたちそでを引っ張りながら言った。


「ほんとですか?」
「ええ、いつもお見舞いに来てくれてるお礼よ。すきなの選んでちょうだい」

「だってさ。行こうぜ」

崎野たちに引っ張られ、ケイタと川嶋は顔を見合わせ、ニコリとした。
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