桃色アルバム
さとこの家では、子供たちが思いのままに遊んだ。



「あ、これ海の写真か?」

崎野がアルバムを見て言った。


「そうだよ」
「いつの間に撮ったんだ?」
「ナイショー。ね、さとこ」
「うん。隠し撮りだよ」

「俺は高いぜ」


崎野が言うと、みんなが爆笑した。


「お、上野と間宮が泳いでる」

渡部が横から覗き込んだ。


ケイタも渡部に写真を渡され、見てみる。

写真の中では、ケイタと上野が真夏の太陽のしたで泳いでいた。

―こんなに元気だったのに。


あのときの上野の姿がよみがえってくる。
そして、次々と上野との思い出が胸に湧き上がってきた。

なんともいえない思いがケイタの胸をつつみこんだ。
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