桃色アルバム
気がつくと、ケイタは上野のとなりにいた。


ベッドに眠り、体から管がのびている、上野のとなりに。

後ろで何か医者が叫んでいる。

ケイタはそんなこと気にしなかった。



上野の手をとる。

それは、はじめて上野に会ったとき、
握手した手とは違うものだった。


細くて、弱弱しかった。


そして、ぐったりとしていた。


「・・・・上野」

ぽつりと名前を呼ぶ。

すると、上野がかすかに目をあけた。
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