桃色アルバム
ケイタは目じりが熱くなるのを感じ、あわててそででぬぐった。


顔を上げると、町が真っ赤にそまっている。




その横顔はりんとしてい、夕日の光がまぶしいほど少年の全身をぬらしていた。



そのぎゅっと握り締めた手には


まだぬくもりが残っていた。



くるりと向きを変えると、仲間のもとへとかけていく。



その少年は絶対に、最後に言われたことばを忘れないだろう。


たった一言。





          ”ありがとう”と―
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